“きざし”
おしよせては、かえす。
うそともほんとうともとれないようなじょうだんばかり。
であっているのに、とおりすぎていたり。
うしろにいるのに、きづいていなかったり。
だれかのものだったけど、だれのものでもなかった。
そしてこうして、またであい、
ざわめき、さざめき、ゆらめきつたえ、
またすこし、はなれた。
きづいていても、きづいていないように。
それはきづかれないように、きずつかないようにいきるすべで。
でも、それでも、
なにもかわらないけれど、なにかがかわるような。
そんなきざし。
わたしのむねのうちで、ひとしれず、でもたしかにおとずれた。
きせるの「はる」というきょくと、
じょぜのしらべが、
せんちめんたるというしゅるいのかんじょうをひきだして、
どうにもならなくしてしまうゆうぐれに。
とじていたまどが、
いつのまにか、あいて、
へやにひかりがさしこむ。
ああ、もうはるなのね。
なにかがおわり、なにかがはじまる。
そんなひざし、はるのきざし。