桜の花。この前つぼみだったのに、もうはなやかに、春をにぎわせている。
校庭の桜。川沿いの桜。小道のしだれ桜。
ねえ、もうちょっと待ってよ。まだ、もう少し先でいいんじゃない。
そうつぶやく私の声に、ためらうこともなく。
これじゃあ、入学式までに散っちゃうね。写真をとりながら、ちょっとためいき。
花たちが、新しい季節を連れてくる。
お日様も、春風も、全てが私を心地よくする。
何もしないことに、うしろめたさを感じずに、のんびりと構えていられる。
1年間、どこか緊張しながら、走っていた。
ゴールまで、どうやってたどり着こうか、頭の中で、常にそのことがうずまいていた。ほっとすることなんて、できなかった。
だから、長い道のりを終えて、ただいま休憩中なのだ。もくもくと、荷物整理なのだ。
卒業式から、しばらくは、余韻で、ちょっとしたことで、涙もろくなってた。
もう、だいぶ落ち着いた。
今日は、髪の毛をばっさり。
春ですから。
古い荷物は捨てて、いやな記憶も消し去って、すっきりとスタートするんだ。
大切なものは、もうすでに、身体に吸収してあるから。
だから、あとは、軽やかに、しなやかに、春の風にのれるように。
出会ったことの意味合いは、別れることによって、深く、染み渡るのだろう。
愛するために、離れるっていうのは、ゆえに、正しく、真実だ。
そうして、谷川俊太郎の詩を思い出す。アメリカを去る前に、エリカがくれた手紙に、同封された詩。
崩れ落ちてしまわぬように。
途方にくれてしまわぬように。
ちゃんと準備をしてきた。
親離れもした。
だから、ひとりで歩いてゆけるの。
それほど、強くなって。強くならずにはいられなくて。
「これが私の優しさです」 谷川俊太郎
窓の外の若葉について考えていいですか
そのむこうの青空について考えても?
永遠と虚無について考えていいですか
あなたが死にかけているときに
あなたが死にかけているときに
あなたについて考えないでいいですか
あなたから遠く遠くはなれて
生きている恋人のことを考えても?
それがあなたを考えることにつながる
とそう信じてもいいですか
それほど強くなっていいですか
あなたのおかげで