2008年05月

子どもの絵に想う・・・学級通信より

 「子どもの絵に想う」と題した学級通信を出しました。明日の参観授業に向けて・・・と思って。

 以下に載せておきます。

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 1ねん1くみ学級通信「のはらうた」より

 “子どもの絵に想う”

先日、子ども達が描いた遠足の絵について、「どんな場面を描いたのか」を、1人ずつ呼んで聞いていたときのこと。

ある子が、自分の絵の説明を終えたところで、ぽつんと、こう言った。

「まま、わらうかな~。」

よくよく話を聞いてみると、どうやら、自分の絵に自信がないらしい。ママに、絵を笑われるんじゃないかなあ・・・心配で、そんな言葉が出てきたようだ。

「コンプレックスは人が作る」と言われる。大人も、子どもも、常に、他者からの評価の対象とされ、いつしか、劣等感や優越感を手にしていく。

子どもにとって、評価する人といえば、親と教師だ。

きっと、この子は、周囲からの評価の言葉を聞いたり、周りの友達と比べたりしながら、「ぼくは絵が苦手だ」「ぼくの絵は上手じゃない」「ぼくは、みんなみたいな絵はかけない」と、感じるようになったんだろう。

その子の絵は、なんとも、愛らしい絵なのである。それは、一般に言われる「上手」な絵ではないかもしれないけれど、彼にしか描けない、味わいのある絵だ。子ども達は、私の絵を、「上手」などというが、私は、どんなに頑張っても、この子のような絵は描けない。

そう・・・私は、子どもの絵をみて、いつもうらやましく思う。彼らのような絵は、大人には決して描けないのだから。子ども達なりの、物のとらえ方、色の感じ方、表現の仕方。それは、大人になるにつれて、分別が身につき、技術を伴えば、決して描くことのできない、貴重な絵なのである。

一見、わけのわからないような絵もある。でも、話を聞けば、その絵ひとつひとつに、その子の世界がある。知識があるばかりに、大人には決してみることのできない世界が、子ども達の絵には隠されている。

有名な「星の王子さま」にも、語り手の、飛行士が、子どものころに描いた絵のエピソードが出てくる。それは、自分が自信を持ってかいた絵を、大人に理解されず、絵描きになることをあきらめてしまった…というものである。

子ども達の絵はわかりにくい。なぜなら、それは大人の私たちには、「説明」を要するものだからだ。多くの場合、私たちは、わざわざ「説明」してもらわないと、子ども達の絵を理解することができない。

だから、子ども達の絵には敬意を払おう。「何を描こうとしたのか」「どんなことが伝えたかったのか」「この子には、どんなふうに世界が映し出されていたのか」「画用紙の上で、どんな物語が巻き起こったのか」ていねいに耳を傾ければ、画伯たちは、親切に教えてくれるだろう。

「上手」「下手」と子どもの絵を評価するのはナンセンス。大切なのは、子ども達の話に耳を傾けること。その絵が語りかけるものを、聞こうとすること。それも、想像力をいっぱい働かせて。

そんな大人が増えたならば、大人の顔色をうかがって、心配になる子どももへるだろう。

1年1組の教室には、子ども達の描いた「遠足の絵」がいっぱいに貼ってあります。

「これは、何しているところ?」「これは、どこへ行くの」「これはだれ?」子ども達が描こうとした世界を、ぜひとも共有してください。そして、子ども達が、「ここはがんばって描いたんだよ」「こんな工夫したよ」っていうところがあれば、ほめてあげてください。

図工は、「出来栄え」よりも、その作品自体に、どれだけ、その子がエネルギーをかけたかという「プロセス」を、評価すべきだと思います。「一番、時間をかけて描いたところはどこ?」「1番気に入っているのは、どれ?」そんなふうに聞きながら、子ども達の表現を信頼し、あたたかく見守ってやってほしいと思います。

そして、最後に、こう言ってあげてください。

「ままは、あなたの絵、好きよ」って。

きっと、その子は、絵をかくことが好きになります。自分を表現することが好きになります。

〇〇くん、ままは、きっと、君の絵を好きになってくれるからね。

あふれだした水



 「ふじわらせんせい、みて~」

 あ、今はじめて、あの子がわたしのなまえを呼んだ。はじめて、あの子に名前を呼ばれた・・・

 体育のとき、活動に入れなかったあの子が、昼休みに、つんだ花をプレゼントしてくれた。何もいわずに、でも、顔は笑っているよ。

 「せんせい、だいちゅき」と、きのうありたっけおこられた子がだきついてくる。

 だきつくと、すぐに、走って逃げた。

 ひりっとするような、ごめんねの瞬間や、どうやって関係を紡ごうかと、悩むことはいっぱいあって。

 頭をかかえることもいっぱいある。でも、こうしてふとした瞬間に訪れる歩み寄り。こっぷにたまった水が、溢れ出す瞬間は、いつも突然。

 ぜ~んぶ、とっておきたい。でも、私は、どんどん忘れていく。

 「大変だね~」といわれつつ、けろっとしてるのは、多分、ぜ~んぶ、忘れちゃうこのおめでたい性分のおかげ。

 今日はしなリレ!たくさん人が集まってくれます。うっれし~!たのしむぞ~!らららんらん。

 

西の魔女が呼んでいた。

『西の魔女が死んだ』


どうしても読みたくなった、四月の終わり。

なぜって。

中1の春、涙を流しながら読んだ、思い出深い本だから。

今度、映画化されるから。

でも、一番の理由は、「おばあちゃん」を感じたかったから。

最近、ずっと涙もろい。

これも、四月の終わりに、不思議な夢を見た。

夢の中で、悟りがあって、夢から覚めて、朝の5時20分。涙があとからあとから出てきた。

深層心理?わかんない。でも、自分の心の奥底にあったものが、流れ出してきてるんだと思う。

私に、思い出させてくれているんだと思う。神様のせい?それとも、自分自身、どこかで、そうしなければならないと思っているからだろうか。

おばあちゃんは、92歳。

この素晴らしき人生。

その人生を、おばあちゃんは、あとどんだけ生きていることはええなあと思って、生きられるんやろうか。

そんなことを考えたとき、おばあちゃんが、自分を呼んでる気がした。

死んだら、もう絶対に、会えへんのやで。声を聞くことも、顔を見ることもできひん。おいしいものを食べることも、景色を見ることも、できひん。

おばあちゃんの愛した丹後の景色や、藤原家の人々と会えるのも、もうあとどんだけあるんやろ。


そんなふうに考えたら、もう、どうしようもなくなってくる。

ひとつ、思いついたのは、絵を描くこと。

だから、今回、帰省して、おばあちゃんの絵と、犬の絵を描いた。うちの犬、快君も、もう15歳の、老犬なのだ。時々、歩くとき、よたっとする。もう、私のことも、わからん。見たら、吠える。

おばあちゃんの絵を描いて、喜んでほしいというのももちろんあるけど、それよりも・・・描くことで、私がおばあちゃんと向き合い、おばあちゃんを大切に思う時間を持ちたかったという気持ちの方が大きい。

自分の中にある、ぬぐえないほどの、申し訳ない気持ち。このままだったら、私は、それに押しつぶされてしまう。少しでも、自分を楽にしたい。そんな思いもあるのだ。

だから、絵を描いた。おばあちゃんの顔をじっとみて。

入れ歯をとった口元には、皺がたくさん並んでいる。目は、前ほど覇気がなく、どことなくさびしそうだ。鼻は、藤原家みんなの顔と同じように、丸くて、低い。

いつぶりに、こんなふうに丁寧におばあちゃんの顔を見ただろう?

帰省したって、あいさつしたり、少し話すくらい。うしろめたさはあっても、どうしようもなかった。

でも、3月の帰省。おばあちゃんの手をにぎって、なぜか、涙が出てきた。ああ、どれだけ長い間、私は手をとって話をしなかったんやろう。

自分のクラスの子どもは、毎日手をとり、抱きしめて話を聞くのに。

どれだけ長い間、私は、おばあちゃんの顔をじっと見つめ、話を聞かなかったんだろう。

その長い間に、おばあちゃんは、すっかり年老いて、口数も減り、まっすぐに座ることも難しくなった。

おばあちゃんが倒れたのが、私が小6のときだから・・・ずいぶん長い間になる。

その間、私は思春期を迎え、いろんな恥じらいを覚え、いろんな扉を作り、世界を閉ざしていった。それは、私が私になるために、避けては通れない道だったのは確かだ。でも、その時に犠牲にしたものが、今、のどをふさぐようにして、押し寄せてくる。

あんなこともあった。こんなこともあった。

遠い昔の記憶。おばあちゃんが大好きだった記憶。

もう2度と戻れない。あんなふうに、無邪気に「大好き」になれない。

「西の魔女が死んだ」に出てくる「まい」のいらだち、そして、最後の涙。きっと、同じ質の涙が、今、私の目からこぼれている。

故郷の青空はつきぬけるよう。

切り落とされた庭のすももの木は、涼しげに5月の風に吹かれている。

あと何度いけるかわからない愛犬の散歩。

おばあちゃんゆずりの頑固な自分。いろんな記憶をたどりながら、ゆっくりと田舎道を歩く。

帰り際。おばあちゃんの手をとって話す。やっぱり涙が出てくる。

ごめんね、の涙やねん。


どう整理していいか、わからない。

どうすればいいか、わからない。

ただ、絵を描き、文章を書き、そうやって、ちょっとでも向き合って、自分の中におばあちゃんの部屋を作って、そこに座って、時間を過ごす。そして、おろおろしている自分を落ち着かせている。

ああ、丹後に帰ろうか。なんか、そう思った。今年の5月。
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