赤いバックパックがいっぱいになった。背負ってみると意外と軽い。

 そりゃあそうか。半分くらいは日本食、おかし類。待っててね、エリカ。

 ちょもさんとりきくんが気をつけていっといで~とメッセージをくれる。

 遠くにいても、近い人達。逆に、近くにいても、遠い人達が、たくさんいる。

 晴れない、晴れない、晴れない空。

 モンゴルの地球の歩き方をパラパラみていたら、こんな一節が。

 「からっぽできてください。まんたんで帰れます。」

 ああ、ほんまにそうなれたらいい。

 満たされているのに、満たされていないのは、心の持ちようという気がする。

 旅に出たら何かが変わると、旅に期待しすぎるのは、あまり好ましくないが・・・十代の頃ほどではないけれど、そんな期待もうっすらとはある。

 何か、こう刺激がほしい。あまりに平穏な日々に。

 本は、石田依良さんの本ばかり数冊。

 服は、色がきれいで、軽やかなものを。

 お気に入りの音楽と、旅先で思い出したい光景や人々の写真。

 モンゴルから、誰に手紙を書こうかな。

 真っ先に浮かぶのは、クラスの子どもたち。

 くっつきすぎず、はなれすぎず。

 適度な距離が必要。

 がまくんとかえるくんのように。

 星の王子さまとキツネのように。

 社会と自分にがっかり続きの毎日。

 モンゴルの草原と星空、そしてエリカに、ちょっと答えを委ねてみる。問いかけてみる。

 そして、この旅で、もうひとつしたいこと。自分の中に生きている物語。封じ込められている、ひりっとした記憶を、物語にしてしまっておけるように。

 もう会えなくなるかもしれない。

 いっぱいの不安を抱えて、どうやってみんな生きていくんやろう。

 お盆には実家に帰るよ。

 おばあちゃん、元気でおってえよ。快君、元気でおってえよ。

 絶対無事で帰ってくる。会わなきゃいけない人がいるから。

 いってきます。